ある理学療法士のブログ

このブログではアフェリエイト広告を利用しています

研修:末梢神経の「なぜ?」がわかる機能解剖学

神経イメージ

今回の学び

  • 神経モビライゼーションは効果あり
  • 神経の神経=Nervi Nervorum

はじめに

 先日、森ノ宮医療大学工藤慎太郎先生の『末梢神経の「なぜ?」がわかる機能解剖学』というテーマの講演をオンデマンドで視聴した。最近、エコーの研修などで「痛みを神経で考える必要がある」と話されているDr.をお見かけします。「痛みを神経で考える」とはどういうことか?そう思っているときに本研修を知り今回の受講に至りました。

 今回の研修で私なりに学びとなったと感じたことは以下の2点です。

 

神経モビライゼーションは効果あり

 私はかれこれ20年近く前に「神経モビライゼーション」という研修を何日間かにかけて受講した。受講はしたものの受講当時も、またその後20年近くも「神経モビライゼーション」が何に効いてどのような場合に用いるのかということが解らずにいました。

 実は、今回の研修でも「神経モビライゼーション」について触れてありました。それによると「神経モビライゼーション」に関する論文数が2013年までは非常に少なく2014年以降急激に増えてきているとのことでした。講師の工藤先生は論文数の増加にエコーの普及が関与しているのではないかと述べられていました。

 本研修においてはこの「神経モビライゼーション」の効果について多分に触れられており、モビライゼーションの方法による滑走距離の違いやモビライゼーションの効果の持続性などについて研究データに基づいてお話しされていました。

 具体的に

  • 神経が関連した腰痛と頸部痛に関しては神経モビライゼーションは有効である
  • 手根管症候群に関しては神経モビライゼーションの効果があるとは言えない
  • 神経モビライゼーションの手技、施行時間による違いは不明である
  • 神経内の腫脹が改善することも報告されている

等は臨床を進める上で参考になるなと感じました。

 

神経の神経=Nervi Nervorum

 末梢神経自体が痛みを発しうる。今回の研修ではこの点についても触れられていました。これには「Nervi Nervorum」というものが関与しているようだとのことでした。

 みなさんは「Nervi Nervorum」というものをご存じでしょうか?(恥ずかしながら私は知りませんでした・・・)

Nervi Nervorumとは神経周膜と上膜に神経線維から分枝しているもので、その分枝した末端には受容器があるとされています。また、神経幹外からは血管と血管周囲神経叢が神経幹の周膜と上膜に入り組んでおり、こうした「Nervi Nervorum」に関わるシステム構造が神経幹を圧迫すると神経因性疼痛が起こる根拠とされています。

 絞扼部位で神経が圧迫されることで神経上膜や周膜が損傷し、結合組織に入り込んでいる血管周囲神経叢の炎症が起こる。そしてこの炎症反応がNervi Nervorumの侵害受容器を興奮させ、これが神経因性疼痛の原因となっているのではないかと言われています。ただし、「Nervi Nervorum」の役割はまだはっきり分かっていない部分もあるようです。

 

結語

 今回は先日受講した工藤慎太郎先生の『末梢神経の「なぜ?」がわかる機能解剖学』という研修会の中で特に私が「勉強になったな~。」と感じたことについてまとめました。『痛みを神経で考える』、この観点で見ると臨床の中で症状はとれたけどなぜ良くなったか分からなかったことにも合点がいき、次回からは明確に狙いをもって理学療法に臨めるのではないかと思います。

 

P.S 今回の研修はオンデマンドで受講しました。実は、リアルタイムでの開催時から気になっていたのですが、オンデマンドの方が期間中複数回視聴することも可能でより理解が進むのではないかと考えオンデマンド開催まで待ってました。実際、今回も期間中に3回頭から終わりまで観ました。主催者の方々、権利の問題などいろいろあるのでしょうが是非オンデマンドによる研修を増やしていただけたらと思いますm(__)m

 

参考

CHIRO-JOURNAL.COM

痛み学NOTE<第27回>Nervi Nervorum(神経の神経)は、どんな役割を演じるのだろ?